四十二年目の着信
小説・全1話
コールドスリープから目覚めた私に、母からのメッセージが届いた。「まだ起きてる?」——地球を離れて四十二年。遠い宇宙で、メッセージが呼び起こす、あの日の言葉。
タグ:短編、SF、カレー
冒頭
コールドスリープから目覚めて、最初に聞いたのは着信音だった。
冷却液が抜けていく音に混じって、短い電子音が二度。
「通信を受信しました」
私は返事をしようとして、咳き込んだ。管理知能が寝台を起こす。差し出された吸い口から水を飲んでも、喉の奥にはまだ何かが張りついていた。
枕元の画面に、文字が浮かんだ。
まだ起きてる?
送信者の名前を見て、私は水を飲むのをやめた。
母だった。
「……何年、経った?」
「地球を出発してから四十二年です」
眠る前、母は六十四歳だった。
私は自分の手を見た。出航前につけた小さな傷が、まだ親指の付け根に残っていた。
「返信は可能です。地球への到達には三十一年後です」
母…
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